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2020年9月24日のNHKニュースにこんな記事が出ていました。
脳性まひの子にきょうだいのさい帯血移植 臨床研究計画を了承
上記の記事はリンクエラーになった為、同じ内容を取り扱った朝日新聞の記事を貼ります(※2021/1/9追記)
このニュースを見て私は期待に胸を膨らませました。
なぜなら、我が家は次女の出産時にさい帯血をプライベートバンクに保管したからです。
まだまだ認知度が低く、過去にトラブルもあったことから、プライベートバンクでさい帯血を保管する人は少ないのが現状のようです。
私自身もあまりよく理解せぬまま、次女の出産時にさい帯血を保管しました。
そういった経緯もあり、今回改めてさい帯血について調べてみることにしました。
この記事では、以下の内容について書いています。
・臍帯血とは何か?
・どんな治療に有効なのか?期待される効果。現在の研究内容。
・臍帯血バンクとは?公的バンクと民間バンクの違い。
・臍帯血を保管するメリット・デメリット。過去の事件。
・厚生労働省に届け出を出している民間臍帯血バンク2社について
・さい帯血を保管できる期間・費用
臍帯血関連のニュースに興味がある人、これから臍帯血の保管を検討中の人に参考になれば幸いです。
ただし、医療の知識のない主婦がWEBで調べた内容で、専門家が監修している訳ではありませんのでご了承ください。
※参考にしたサイトはリンクを貼りますので、詳しく知りたい方はリンクから飛んでください。
では見ていきましょう!
脳性麻痺が改善される!?さい帯血治療とは?
さい帯血(さいたいけつ)って何?
まず『さい帯血』って聞きなれない言葉ですよね?
さい帯=へその緒です。※漢字で書くと「臍帯」
その名の通り、へその緒の中に含まれる胎児血のことを『臍帯血(さいたいけつ)』と言います。
このさい帯血の中にある「幹細胞」が、さまざまな病気の治療に役立つ可能性を秘めているというのです。
さい帯血の中にある幹細胞とは?どんな病気の治療に役立つの?
では『幹細胞』とは何なのか?
現在どんな病気の治療に役立っているのでしょうか。
幹細胞は、臓器や筋肉、骨、血液の成分、神経などの身体のもととなる細胞のことです。
幹細胞は、自己複製能と様々な細胞に分化する能力(多分化能)を持つ特殊な細胞である。この2つの能力により、発生や組織の再生などを担う細胞であると考えられている。幹細胞には、その由来や能力などから、幾つかの分類がされており、主に胚性幹細胞(ES細胞)、成体幹細胞、iPS細胞などが挙げられる。
さい帯血には、血液を造る細胞(造血幹細胞)がたくさん入っているため、白血病や先天性免疫不全、代謝疾患などの病気の治療に役立っています。
脳性麻痺も改善?血液以外の病気にも役立つ?
血液の病気以外にはどんな治療があるのでしょうか?
脳性麻痺治療に一定の効果
私が次女のさい帯血を保管すると決めたのは、偶然次女の妊娠中に下記の記事を読んだからです。
臍帯血 きょうだいからも 脳性まひ患者ら、早期実現求め署名活動※東京新聞.com 2019年6月28日
この記事をきっかけに、脳性麻痺のさい帯血治療について検索すると、上記の記事の通り、既に本人のさい帯血で治療する研究は始まっていて一定の効果が出ていることを知りました。
臍帯血幹細胞治療 脳性まひ児に一定の効果※九州医事新報社2019年3月20日
こうして、さい帯血保管を決めました。
臍帯血バンク。公的バンクと民間バンクの違い。
さい帯血バンクは公的バンクと民間バンクがあります。
違いは下記の通り。
公的臍帯血バンクとは?
白血病などの治療のための移植に用いられる臍帯血を供給する事業者です。臍帯血の採取、調整、保存を行うとともに、患者さんが移植を希望した場合には、その患者さんが移植を受ける医療機関へ臍帯血を引き渡す業務を行っています。臍帯血供給事業者として厚生労働大臣の許可を受けた業者は全国6カ所あります(北海道さい帯血バンク、関東甲信越さい帯血バンク、近畿さい帯血バンク、九州さい帯血バンク、中部さい帯血バンク、兵庫さい帯血バンク)。
出典:厚生労働省HPより
公的さい帯血バンクは、個人で利用することは出来ません。
出産したお母さんから無償で提供してもらいます。
その為、保管する費用などを個人が負担することもありません。
保管したさい帯血は、白血病等の病気の治療のために必要な人に移植されます。
民間臍帯血バンクとは?
本人や家族の病気の治療のために、現在はまだ医療技術としては確立されていない再生医療などに将来利用する場合に備えて、委託契約を結び、保管費用を支払うことにより、臍帯血を保存してもらう事業者です。
出典:厚生労働省HPより
保管を依頼する場合には、保管のための、費用を支払う必要があります。
民間臍帯血バンクのメリット
個人で保管する場合は、必然的に民間臍帯血バンクを利用することになります。
メリットは何といっても、子供自身や家族の病気の治療に将来使える可能性があるということでしょう。
現在治療が確立されていない病気の治療に将来使える可能性が期待されます。
民間の臍帯血バンクのデメリット
保険診療では使えない
先ほど、『白血病などの治療に』と記載しましたが、現在、臨床研究として預けた臍帯血を用いた治療が行われていますが、一般の保険診療は行われていないとのことです。
参考:※厚生労働省HP
倒産やトラブルの可能性がある
やはり民間企業ですので倒産の可能性が0ではありません。
実際過去に倒産した会社があります。
しかも、倒産した会社から流出した臍帯血が販売され、国に無届で違法な再生医療に使用される事案が発生しました。
臍帯血事件、販売業者を再逮捕へ 詐欺と横領の疑い※朝日新聞デジタル(2017年9月15日)
無届け臍帯血、事件の構図は? ※朝日新聞デジタル(2017年11月3日)
事件後、厚生労働省が調査に乗り出しました。
【図解・社会】臍帯血民間バンクの調査結果(2017年9月)※時事ドットコムニュースより
過去には7社ほどあった民間臍帯血バンクですが、現在は3社しかないようです。
臍帯血バンク4社が廃業 継続は3社、厚労省調査 ※2017年11月6日日本経済新聞
事件をきっかけに、造血幹細胞移植法が改正されました。
厚生労働省のHPはこちら
使う日が来るかどうかは分からない
保管費用の詳細は後述しますが、我が家は20年間保存で約30万円強支払いました。
それなりに高額な支払いになりますが、使うか日が来るかどうかは分からないですよね。
使う可能性が低いという点について古い記事ですが以下のようなものがあります。
さい帯血の私的保存に注意(日本産婦人科医会報_平成14年11月号より)
この中に白血病で移植が必要な患者は10万人に1人程度という記載があります。
さい帯血を利用する確率はものすごく低いし、万が一必要になっても公的バンクで十分対応可能とのこと。
我が家の場合は長女が「障がいを持って生まれた」という一般的ではない経験をしている為、「自分の子供がまさか10万人に1人に該当する訳がない」とは全く思いません。
そのため、
次女が万が一白血病などの重い病に罹るかもしれない
公的バンクでもし対応出来なかったら?
長女の脳性麻痺の治療に使えることになるかもしれない
ということを考え、迷わず保管を決めました。
身内に病気や障がいを負った経験が無いと身近に感じにくいので、なかなかプライベートで保管しようという決断は難しいかもしれませんね。
私も長女の出産のときは、さい帯血なんて全く気にしていませんでした。
公的臍帯血バンクについて説明を受けて、何かサインをした記憶はありますが、自分で保管しようなんて1ミリも考えなかったです。
民間臍帯血バンクの存在すら知らなかったですし。
とはいえ、デメリットはきちんと把握した上で契約することをおススメします。
現在保管可能な民間さい帯血バンクは3社!
現在さい帯血を保管できる会社について見ていきましょう。
調べた限り「ステムセル研究所」と「株式会社アイル」「ときわメディックス」の3社だけでした。
厚生労働省においては、公衆衛生上の観点及び契約者(依頼者)の保護の観点から、臍帯血プライベートバンクの業務内容等を把握するとともに、契約者(依頼者)本人に対して臍帯血プライベートバンクの業務に関する適正な情報が提供されることを確保するため、臍帯血プライベートバンクに対して、事業の開始、変更及び休廃止の際には、臍帯血プライベートバンクの業務内容等や保管臍帯血の管理体制等について、届出及び報告等を求めることとしました。
臍帯血プライベートバンクの事業の届出を行った者は、以下のとおりです。
○ 株式会社ステムセル研究所
○ 株式会社アイル
出典:厚生労働省HPより
「ときわメディックス」は届け出を出していないようなので、届け出ている2社についてのみ紹介します。
大々的に広告を出しているのはステムセル研究所。
株式会社アイルは研究事業の1部門として運営しているためか広告は出していないようです。
それぞれの会社の事業内容や特徴をまとめています。
ステムセル研究所
企業情報の詳細はこちら
事業内容は
- ステムセル(造血系幹細胞)の受託管理事業
- ステムセルを利用した新治療方法の研究開発および普及
- 末梢血幹細胞の受託管理事業
見たところ、名前の通り幹細胞専門の会社ですね。
さい帯血による脳性麻痺治療の研究で高知大学に協力している会社でもあります。
我が家もこちらの会社に保管をお願いしています。
というか、次女出産当時、この会社しか知りませんでした。
このステムセル研究所は、電解水素水整水器を扱っている日本トリム(証券コード6788)の子会社です。
子会社であるステムセル研究所も2020年12月8日付で、東京証券取引所へ新規上場申請を行ったと公表しています。
2020年3月にコロナの影響で一度上場を取りやめていましたが、また申請したようですね。
民間臍帯血バンクとしては20年以上の歴史があり、安定している会社だと思います。
株式会社アイル
株式会社アイルのホームページはこちら
アイルは、関東・北日本を中心に140以上の医療施設(病院・健診センター・人間ドック等)を抱えるIMSグループから依頼された臨床検査の共同利用を目的とし、高精度かつ迅速な対応、そして効率性を追求した臨床検査専門の国内有数の施設です。
臨床検査全般にわたる業務のほか、ホルター心電図解析センター、睡眠時無呼吸解析センター、環境衛生事業、など多角的な事業を展開しIMSグループの総合医療の一翼を担うとともに、広く地域社会に貢献しています。
出典:株式会社アイルHPより
さらに、株式会社アイルはIMSグループに属しているとのこと。
IMSグループは関東を中心に33の病院、16の介護老人保健施設、8のクリニックを擁する日本を代表する医療グループだそうです(さい帯血.comより)
臍帯血の保管費用・保管期間は?
細胞にダメージが少ない手法で凍結した後に、超低温(マイナス190℃)の液体窒素タンクで保管します。この状態で半永久的に保管可能であると考えられています。文献的には液体窒素で23年間保管したさい帯血幹細胞の有効性を示すデータが報告されています。
出典:ステムセル研究所HP
10年間保管した場合の2社の保管料を表にしてみました。
各社の料金表は社名にリンクを貼っています↓↓
ステムセル研究所 | 株式会社アイル | |
初期費用 | 190,000円 | 20,000円 |
処置料 | 無し | 140,000円 |
保管料/年 | 5,000円 | 10,000円 |
10年間の合計 | 240,000円 | 240,000円 |
※2社とも税別です。
※株式会社アイルは10年プリペイド80000円というプランがあります。
20年預ける場合は、ステムセル研究所が29万円、株式会社アイルは詳細は書いていませんでしたが、もし10年プリペイドをもう一度使って延長できる場合は20年で32万円になるので、少し高くなりますね。
もし保管を検討する場合は、2社から資料を請求して保管期間と料金について直接確認した方が良さそうです。
まとめ
これから出産を控えている方は、是非さい帯血を保管することをおススメします。
ただし、契約内容についてしっかり把握し、保管した=必ず治療に使えるわけではないということは理解しておきましょう。
再生医療の分野はこれから発展していくことは間違いないと思います。
今は治療法が無いと言われている病も、10年先、20年先には治療できる可能性があります。
「こどもの障がいは受け入れているけど、諦めたわけじゃない」
先輩ママが言っていた言葉です。
彼女は子どもが歩けるようになる可能性を求めて、飛行機に乗って遠くの病院まで足を運んでいました。
私も少しでも可能性があるなら賭けてみたいという思いです。
とはいえ、いざ治療に使えるようになったとしても、今後次女が必要になる場合もあるため、その時が来たらまた迷うとは思います。
長女の時にも保管できていれば迷うことは無かったんでしょうけどね。
さい帯血は出産の時にしか採取出来ないのでチャンスは1回しかありません。
後悔しないように、それぞれの家族にとって納得のいく選択が出来ると良いですね。